ここ数年、雑誌などでも紹介されるようになった「塊根植物・コーデックス」。
ふくらんだ根や茎が特徴的で、独特な姿ですよね。
ですが、その外見的なイメージから、
塊根植物を育ててみたいけど、なんだか育て方が難しそう…
このように思っている方が多いかもしれません。
そこでこの記事では、「塊根植物・コーデックス」について、特徴や育て方、代表的な種類などをご紹介します。
「コーデックスを育ててみたいな…」と考えている方は、ぜひご覧ください。
塊根(かいこん)植物・コーデックスとは?読み方やその特徴
まずは、塊根植物・コーデックスがどのような植物か。
漢字の読み方や、その特徴など、コーデックスの基本知識をご紹介します。
塊根植物・コーデックスとは?
「コーデックス」とは、根や茎が塊状になる特徴的な植物の総称です。
塊根植物の読み方は「かいこん」
「塊根植物」や「塊茎植物」ともよばれ、漢字の読み方は「かいこんしょくぶつ」と「かいけいしょくぶつ」となります。
英語では「caudex」や「caudiciform」。
ちなみに「caudex」は、「木の幹」を意味するラテン語のcaudexが由来です。
塊根植物・コーデックスは多肉植物の一種
塊根植物・コーデックスは多肉植物の一種です。
たとえばエケベリアは、多肉植物でもあり、コーデックスでもある植物となります。
またコーデックスは分類上、ウルシ科やマメ科、トケイソウ化など、多くの「属」にまたがっています。
そのため、植物分類学上での区別は存在せず、あくまでもその姿・形の特徴から「コーデックス」と判断されます。
塊根(かいこん)植物・コーデックスの特徴
塊根植物・コーデックスの特徴は、なんといってもその形。
塊根や塊茎の「まるまるとしたスタイル」は、ほかの草花にはない魅力です。
木肌や葉の形なども、独特なものが多いですね。
ふくらんだ根や茎には、水分や養分を蓄えています。
コーデックスの原産地は乾燥地帯であり、その厳しい環境で生きていくために、水分などを備蓄できるよう進化しました。
そして意外なことに、コーデックスは花も楽しめます。
ゴツい姿に似合わない、可憐な花を咲かせる様子をみたら、より愛着がわきますね。
塊根(かいこん)植物・コーデックスの育て方
次に、塊根(かいこん)植物・コーデックスの育て方をご紹介します。
【塊根(かいこん)植物・コーデックスの育て方①】生育型(育て方のタイプ)を知る
ほかの多肉植物と同じように、コーデックスにも「活発に生育する時期(生育期)」と「生育がとまる時期(休眠期)」があるので、そのタイプを知ることが大切。
この生育期の違いによって、コーデックスには次の4つの育て方のタイプがあります。
[コーデックスの育て方のタイプ①]夏型
夏に生育期をむかえるタイプ。
春と秋は生育がゆるやかになり、冬は休眠します。
[コーデックスの育て方のタイプ②]春秋型
春~秋に生育期をむかえるタイプ。
夏に生長をやめる品種もあるため、明るい日陰へ。
冬は休眠します。
[コーデックスの育て方のタイプ③]秋春型
秋~春に生育期をむかえるタイプ。
高温を嫌うので、夏場の管理が大切になります。
[コーデックスの育て方のタイプ④]冬型
冬に生育期をむかえるタイプ。
春と秋は生育がゆるやかになり、夏は休眠します。
【塊根(かいこん)植物・コーデックスの育て方②】置き場所:強い日差しを好む
コーデックスを元気に育てるには、栽培する環境を原産地に近づけることがポイント。
強い日差しで、風通しの良い場所が理想です。
冬型以外の生育型の品種では、生育期は戸外の日当たりのよい場所に置きます。
「窓辺なら室内でもいい?」と考えてしまいますが、ガラス越しでは光量が8割減となるため、光量不足となります。
1~2年かけて枯れてしまうこともあるので、注意してください。
冬型の生育期は、室内の日当たりのよい場所に置きます。
冬型といっても、日本の冬の気温は低すぎることが多いため、戸外での管理は避けましょう。
【塊根(かいこん)植物・コーデックスの育て方③】水やり:生育期と休眠期で変える
コーデックスの水やりは、生育期はたっぷり、休眠期は断水がキホンです。
生育期の「たっぷり」とは、土の表面が乾いたら、鉢底から流れでるほどたくさん。
休眠期の「断水」とは、水やりを一切しないこと。
もともとは乾燥地帯で育つ品種ですので、水の「やりすぎ」には注意してください。
ちなみにこの「やりすぎ」とは、頻度のこと。
「やりすぎ」ないように、「ちょっとずつあげる」というのが一番いけません。
(土のなかに、つねに湿気がある状態のため、根がくさってしまう可能性が高い)
「一回の水やりではたくさんあげるが、頻繁にあげすぎない」ことを意識してください。
【塊根(かいこん)植物・コーデックスの育て方④】栽培につかう土:水はけのよいものを
コーデックスも多肉植物と同様で、水はけのよい土を使います。
市販の「多肉植物・サボテン用の土」を使ってもいいのですが、これはやや水はけがよすぎです。
そこに赤玉土の小粒を2~3割ほどまぜると、ほどよい水もちになります。
代表的な塊根(かいこん)植物・コーデックスの種類
記事の最後に、代表的な塊根(かいこん)植物・コーデックスの種類をご紹介します。
[塊根(かいこん)植物・コーデックスの種類①]パキポディウム(Pachypodium)
「つぼ型」や「ボトル型」など独特な形と、黄色や白などの美しい花が咲くため、コーデックスのなかでも人気があるのが「パキポディウム」です。
キョウチクトウ科のコーデックス。名前は、ギリシャ語の「pachys(太い)」と「podos(足)」を組み合わせた言葉で、株の形をそのまま表しています。
その種類は、「パキポディウム マカイエンセ」や「パキポディウム ウィンゾリー」など約20種類。ほとんどはマダガスカルが原産地です。
多くの種類が夏型で、春は芽吹きや開花、冬は落葉と、1年をとおして変化が楽しめます。冬は休眠しますので、断水してください。
[塊根(かいこん)植物・コーデックスの種類②]アデニウム(Adenium)
「砂漠のバラ」とよばれる、濃いピンクの花を咲かせるアデニウム。この名前は、原産地のひとつである、イエメンの「アデン」にちなんでいます。
自生地では、砂漠や乾燥した場所の岩などに生えているため、年間をとおして直射日光がよくあたり、風通しのよい場所での栽培がおすすめです。
代表的な種類として、アデニウムの王様とよばれる「ソコトラナム」や、赤茶色の幹の「オベサム(オベスム)」、入門種の「アラビクム(アラビカム)」などがあります。
[塊根(かいこん)植物・コーデックスの種類③]火星人(フォッケア・エデュリス)
ウチで初めて、そして唯一育てているコーデックスが「火星人」です。大きい植物店などで取りあつかうことが、最近増えていますね。
ガガイモ科のコーデックスで、学名は「Fockea edulis(フォッケア・エデュリス)」。ちなみに「火星人」というのは「和名」です。
育つと幹がカブのようにふくらみ、枝はツル状にのびていきます。比較的寒さに強く、育てやすい品種です。
まとめ:日光の量に気をつけながら、お気に入りのコーデックス栽培を
この記事では、「塊根植物・コーデックス」について、特徴や育て方、代表的な品種などをご紹介しました。
水やりや日当たりのルールと、育て方のタイプ(生育型)を知れば、育たかたがそんなに難しい種類ではありません。
日光の量に気をつけながら、あなたのお気に入りのコーデックスを育ててみましょう。
◆「欲しいコーデックスがあるけれど、お店で見つからない」ときは、通販サイトで探してみましょう。
参考文献・サイト・データ
この記事では、こちらの文献やサイトを参考にさせて頂いています。
- 書籍『多肉植物&コーデックス GuideBook』主婦の友社 isla del pescado編集協力
- 書籍『趣味園芸 12ヶ月栽培ナビ 多肉植物 コーデックス』NHK出版 長田 研 著