「鉢底石を使うことで、鉢土の水はけが良くなる」とよく言われるけど、実際にどのくらい違うんだろう?
と思って、実験してみました。
この記事では、鉢底石あり・ナシ・スリット鉢では鉢土の乾き方はどのくらい違うのか、その実験結果をご紹介します。
また記事の後半では、「鉢底の穴がひとつしかない鉢」の排水性の悪さも解説しています。
使ったのは「観葉植物の培養土」ですので、とくに観葉植物をメインで育てている方はぜひご覧ください。
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鉢底石あり・鉢底石ナシ・スリット鉢での「鉢土の乾き方」をくらべました
まずは、今回行った実験「鉢底石あり・鉢底石ナシ・スリット鉢での鉢土の乾き方の比較」の、実験方法などをご紹介します。
◆「鉢底石が必要な理由や使い方」は、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「観葉植物に鉢底石(ゴロ石)はなぜ必要なの?使う量や選び方、代用品も紹介します」
実験方法と手順:土の量を一定にして鉢底石あり・ナシ・スリット鉢を比較
実験方法としては、「土の量」を一定にして、鉢底石あり・鉢底石ナシ・スリット鉢での土の乾き方を比較しました。
- 鉢底石あり:鉢底石と鉢底シートを使用
- 鉢底石ナシ:鉢底シートのみ使用
- スリット鉢:鉢底石と鉢底シートのどちらも使用せず
なおスリット鉢とは、鉢の側面にスリット(切れ目)がついた鉢のこと。
「根がよく育つ」・「土がほどよく乾燥する」といった特徴があります。
◆スリット鉢についてくわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うメリットは?デメリットや特徴・使い方まで解説」
手順①:まずは土なしの状態で重さを測定
手順②:次に「鉢底石あり」の鉢に土を入れ、その土の重さを基準にして、同じ土の量をほかの鉢にも入れました
土の重さは「217g」を基準にして、「鉢底石ナシ」と「スリット鉢」にも同量を入れました。
その結果、現時点での重さは次のとおり。
①土なしの状態 | ②土が乾いた状態 | ③土の重さ(②−①) | |
---|---|---|---|
鉢底石あり | 604g | 821g | 217g |
鉢底石なし | 520.5g | 737.5g | 217g |
スリット鉢 | 71.5g | 288.5g | 217g |
手順③:それぞれの鉢にたっぷりと水やり
いつもの水やりと同じように、底から出るほどたっぷりと水を与えました。
水やり後は、少し鉢を振って、余分な水分を落としてから重さを測っています(結果は後述)。
手順④:鉢を窓辺に置いて、毎日重さを測定
あとは鉢を窓辺に置いて、ひたすら毎日、重さを測定しました。
使用した鉢:直径12cmで鉢底穴がひとつの鉢とスリット鉢
実験で使用した鉢は、直径12cmで「鉢底穴がひとつ」の鉢2つと、4号サイズのスリット鉢です。
- モダンレリーフ植木鉢(ダイソー)×2個
- 兼弥産業
ちなみに、ダイソーのモダンレリーフ植木鉢を使った理由は「以前から排水性の低さが気になっていた」から。くわしくは後述しています。
鉢底石あり・鉢底石ナシ・スリット鉢での土の乾き方【実験結果】と【結論】
次に実験結果と結論をご紹介します。
なお結果を表とグラフでまとめたものはこちら↓です。
0日 | 1日後 | 2日後 | 3日後 | 4日後 | 5日後 | 6日後 | 7日後 | 8日後 | 9日後 | 10日後 | 11日後 | 12日後 | 13日後 | 14日後 | 15日後 | 16日後 | 17日後 | 18日後 | 19日後 | 20日後 | 21日後 | 22日後 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鉢底石あり | 179 | 163.5 | 152.5 | 143 | 130 | 117.5 | 103 | 89 | 79.5 | 70 | 58.5 | 48.5 | 40 | 34.5 | 28.5 | 23.5 | 19 | 14.5 | 9.5 | 6.5 | 2.5 | -1 | -4 |
鉢底石ナシ | 219.5 | 203.5 | 195.5 | 188 | 178 | 166.5 | 154.5 | 141.5 | 131 | 117.5 | 99 | 79 | 62.5 | 52.5 | 41.5 | 33 | 25.5 | 18.5 | 11 | 6 | 0.5 | -4.5 | -9 |
スリット鉢 | 154.5 | 135 | 123.5 | 113 | 99 | 83.5 | 66.5 | 47.5 | 36 | 22 | 8 | -6 | -16 | -20.5 | -28 | -33.5 | -38 | -41 | -46 | -49 | -52.5 | -55.5 | -57.5 |
〈結果①〉鉢底石ナシは、水やり直後すでに水分量が多い(排水性が悪い)
実験結果の1つめは、「鉢底石ナシは、水やり直後すでに水分量が多い」です。
下表の「⑤欄」が、水やり直後の「水分のみの重さ」の結果。
①土なしの状態 | ②土が乾いた状態 | ③土の重さ(②−①) | ④水やり直後の重さ | ⑤水分のみの重さ(④−②) | |
---|---|---|---|---|---|
鉢底石あり | 604g | 821g | 217g | 1000g | 179g |
鉢底石ナシ | 520.5g | 737.5g | 217g | 957g | 219.5g |
スリット鉢 | 71.5g | 288.5g | 217g | 443g | 154.5g |
「鉢底石ナシ」は219.5gで、なんと「スリット鉢」の154.5gの1.42倍。
「鉢底石あり」の179gとくらべても1.23倍の重さです。
3つの鉢とも、水やり後は軽く鉢を振って、よぶんな水分を落としてから、重さを測っています。
3つの鉢のなかで「鉢底石ナシ」が唯一、土の重さ「217g」を超える水分量となっています。
もう水やり時点(初日)で、「鉢底石がないと排水性が悪い」ことは確認できました。
〈結果②〉次回水やりまでスリット鉢7日、鉢底石あり12日、ナシ14日
実験結果の2つめは、「次回水やりまでスリット鉢7日、鉢底石あり12日、ナシ14日」です。
スリット鉢で、鉢土の表面と土を少し掘ってみて「一般的な観葉植物なら水やりのタイミングだな」と思ったのは7日目。
そのときの水分量は47.5gでした。
この「水分量47.5g」を切った日をくらべると下表のとおり。
鉢底石あり | 12日目 |
鉢底石ナシ | 14日目 |
スリット鉢 | 7日目 |
つまり「鉢底石ナシ」は、水やりのタイミングが「スリット鉢」の2倍まで長くなっています。
植物は「土が乾いたとき」に水を求めて根を伸ばし、地上部の茎や葉も生長。
そのため「鉢底石ナシ」は、「スリット鉢」よりも生長がだいぶ遅くなる可能性が高いといえます。
〈結果③〉「鉢底石あり」では土がだんだん乾きにくくなる
実験結果の3つめは、「「鉢底石あり」では土がだんだん乾きにくくなる」です。
グラフ1でわかるとおり、「鉢底石あり」のみ、乾き方が鈍化していきました。
これは意外な結果でしたが、「鉢底石があることで、底面側の土が乾きにくくなった」ことが原因ではないかと考えます。
とはいえ、上記「結果②」で確認した「水やりのタイミング」は「鉢底石あり」のほうが早く、乾きにくくなるのはその後。
ですので、「鉢底石は必要ない」というわけではありません。
実際に植物を育てているときは、ここまでカラカラに乾燥させることはないため、「乾き方が鈍る」ことの影響はないはずです。
【結論】鉢底石は排水性を良くする、ただし鉢自体の特性まではカバーできない
今回の実験でわかったこと、結論は「鉢底石は排水性を良くする、ただし鉢自体の特性まではカバーできない」です。
表1にあったとおり、「鉢底石あり」では「鉢底石ナシ」よりも、水やり時の水分量が81%ほどに抑えられました。
①土なしの状態 | ②土が乾いた状態 | ③土の重さ(②−①) | ④水やり直後の重さ | ⑤水分のみの重さ(④−②) | |
---|---|---|---|---|---|
鉢底石あり | 604g | 821g | 217g | 1000g | 179g |
鉢底石ナシ | 520.5g | 737.5g | 217g | 957g | 219.5g |
スリット鉢 | 71.5g | 288.5g | 217g | 443g | 154.5g |
また表4でわかったとおり、「鉢底石あり」は「鉢底石ナシ」より、水やりまでの日数が2日早くなっています。
鉢底石あり | 12日目 |
鉢底石ナシ | 14日目 |
スリット鉢 | 7日目 |
このように、鉢底石を入れることで排水性が向上するため、よぶんな水を鉢内に貯めないことがわかりました。
ただしもう一度、表3・4を見ていただくと、「鉢底石あり」であっても「スリット鉢」の排水性の良さには遠く及びません。
つまり、もともと排水性が悪い「鉢底の穴がひとつしかない鉢」では、いくら鉢底石を使っても、スリット鉢ほどの排水性は得られないということ。
そこで、以下のような使い分けがおすすめです。
- 排水性が悪そうでも、「どうしてもこの鉢が使いたい」とき
→必ず鉢底石を使う - 鉢カバーなどを使うので、鉢自体のデザインは気にしないとき
→スリット鉢を使う
実験した理由:鉢と鉢底石の「排水性」を確認したかったため
記事の最後に、今回の実験をやってみた理由と、「鉢底の穴がひとつしかない鉢」の排水性の悪さをご紹介します。
鉢と鉢底石の「排水性」を確認したかった
今回の実験をやってみた理由は、次の2点を知りたかったため。
- 鉢が違うと、排水性はどのくらい違うのか?
- 鉢底石を入れると、排水性はどのくらい違うのか?
なお上記1については、素焼き鉢などを加えてさらに実験してみる予定です。
〈結果の番外編〉「鉢底穴が小さくてひとつだけの鉢」は排水性が悪い
結論の番外編として、「鉢底穴が小さくてひとつだけの鉢」がどれほど排水性が悪いのかご紹介です。
数値的には表1のとおりで、水分量だけみても「スリット鉢=154.5g」・「鉢底石あり=179g」と重くなっています。
そこで、実際に鉢内でどんな状況になっているのかを見てみましょう。
今回の実験で使用した、ダイソー「モダンレリーフ植木鉢」。
この鉢に、見えやすいように水の代わりに「コーヒー」を注いでみました。
その結果は下画像のとおりで、水(コーヒー)が排水されず、鉢底穴のまわりにたまっています。
少し激しく鉢を振ってみても、完全には排水されません。
このように、「鉢底穴が小さくてひとつだけの鉢」は排水性がとても悪いです。
なかには「小さい穴がひとつ」でも、うまく排水できる鉢もあるかもしれませんが、今まで見たことがありません。たぶん「下側から穴をあける」ため、穴の周辺が盛り上がるのではないでしょうか?
ちなみに、鉢底穴の大きさは「1cm以上」はないとキビシイよう。
今回のダイソー鉢の穴は0.8cmでした。
「鉢底穴が小さくてひとつだけの鉢」では、排水性を保つために、必ず鉢底石を使いましょう。
まとめ:鉢底石は重要、でも鉢選びはもっと重要
この記事では、鉢底石あり・ナシ・スリット鉢では鉢土の乾き方はどのくらい違うのか、その実験結果をご紹介しました。
鉢底石は重要です。でも鉢選びはもっと重要。
「どうしても観葉植物が枯れてしまう…」という方は、スリット鉢を使ってみることをおすすめします。
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◆「観葉植物の情報全般」は、こちらの記事でまとめています。
・記事「【観葉植物まとめ】育て方のポイント、増やし方などすべて紹介」