観葉植物を育てていて、
また観葉植物が枯れちゃった…。お店の人に聞いたら「水のやり過ぎによる根腐れじゃないか」って言われたけど、どうすれば防げるの?
と困ってはいませんか?
そんな方におすすめするのが、今回ご紹介する「スリット鉢(根張り鉢)」です。
この記事では、観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うメリットやデメリット、特徴、使い方まで解説します。
「観葉植物を、元気にイキイキと育てたい!」というときは、ぜひご覧ください。
スリット鉢(根張り鉢)の基本情報
まずは、スリット鉢(根張り鉢)がどのようなものか、基本情報をご紹介します。
スリット鉢(根張り鉢)とは、側面にスリットが入った鉢のこと
スリット鉢とは、側面にスリットが入った鉢のことです。
「スリット(slit)」とは「切れ目、割れ目」という意味で、下画像のような切れ目が入ったのが「スリット鉢」。
「根張り鉢(大和プラスチック)」や「とんでもないポット(兼弥産業)」といった名前の商品があります。
もともとは、兼弥産業(カネヤ)が園芸の生産者向けに製造。
「スリット鉢を使うことでよく花が咲き、おいしい果実を実らせる」として注目を集め、現在は多くのメーカーがスリット鉢を製造しています。
スリット鉢の形:四角形・六角形・八角形・円形などさまざま
スリット鉢の形は、四角形・六角形・八角形・円形などさまざまです。
もともとは八角形のスリット鉢がつくられ、その後は四角形・六角形・円形などの製品が販売されています。
スリット鉢の素材:ほとんどはプラスチック、最近はテラコッタも
スリット鉢の素材は、ほとんどがプラスチックです。
もともとが「生産者向け」に作られたため、軽量・安価で、形状の加工が容易なプラスチックが使われました。
最近では「テラコッタ製のスリット鉢」も登場。
ただしプラスチックほどは多くの種類が出ていません。
スリット鉢の色:多くがモスグリーン
スリット鉢の色は、多くがモスグリーンです。
最近はモスグリーンのほかにも、次のような鉢色がラインナップされています。
- 白
- 黒
- 茶色
- ネイビー
スリット鉢(根張り鉢)の特徴
次に、スリット鉢(根張り鉢)の特徴をご紹介します。
「直植えでの根の張り」を鉢でも実現するようにデザインされている
スリット鉢(根張り鉢)の特徴は、「直植えでの根の張り」を鉢でも実現するようにデザインされている点です。
「直植え」とは、畑などの大地に直接、植物を植えること。
「鉢植え」だと「鉢の容量分」しか土も広さもないため、「直植え」よりも根が張りません。
ですがスリット鉢では、鉢内で「できるだけ根を張らせる」ことを目指す設計のため、鉢土の90%以上を有効利用します(カネヤHPより)。
〈特徴①〉根が下に・たくさん生え・サークリングしない
スリット鉢(根張り鉢)の具体的な特徴の1つめは、「根が下に・たくさん生え・サークリングしない」点です。
「元祖スリット鉢」とも呼ばれる、カネヤの八角形のスリット鉢(CSM-120)を見ると、側面に「溝」がつくられています。
根はこの「溝」に沿って、下に下に伸びる設計。
また一般的な鉢では、根が底にたまって「サークリング状態(底でグルグル回ってしまうこと)」となってしまいます。
ところがスリット鉢では、根がスリット近くまで伸びると、外気に触れて生長を停止。
すると新しい根がどんどん出てきて伸びるため、鉢内が根で満たされます。
こうした原理により、カネヤHPで記載されたとおり「鉢土の90%以上を有効利用」できます。
鉢底には「仕切り板」があり、鉢の強度を高めるとともに、根の「サークリング状態」を防止。
鉢底の中央には「ゆるやかなカーブ」があることで、外気温が直接、根に伝わりません。
側面にスリットがあるため通気性がいい
一般的な鉢(下画像の右側)は、底面にしか穴がありません。
そのため平らな地面や受け皿に置くと、穴がふさがれて、通気性が悪くなります。
一方、スリット鉢(上画像の左側)は側面に「切れ込み」があるため、受け皿に置いても通気性が悪くなることはありません。
つねに鉢土が空気に触れているため、冬でも適度に乾いてくれます。
底に水がたまらず排水性がいい
一般的な鉢では、「底に穴がひとつしかない」タイプも多く、水が底にたまりやすくなっています。
そのため鉢底石を敷いて、土が水に浸からないような対策が必要。
一方のスリット鉢は、底の中央がもり上がり、そのまわりに穴(スリット)を配置。
底に水がたまることがありません。
このように排水性が良いため、スリット鉢では鉢底石を使う必要がありません。
スリット鉢のことがわかったら、育てたい観葉植物を園芸店やネット通販などで探してみましょう。
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観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うメリット
次に、観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うメリットをご紹介します。
◆「スリット鉢と陶器鉢の土の乾き方の違い」は、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「【実験結果】鉢底石あり・ナシ・スリット鉢では鉢土の乾き方はどのくらい違う?【観葉植物の土】」
〈メリット①〉たくさん根が張り、植物がスクスク育つ
観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うメリットの1つめは、「たくさん根が張り、植物がスクスク育つ」です。
一般的な鉢で育てると、下画像のように「サークリング状態(底でグルグル回ってしまうこと)」となり、「株の中心部」からは根が生えにくくなります。
ですがスリット鉢では、根が鉢底まで下りると、回らずに生長を止まります。
根が止まると、「わき根」が出やすくなり、株の中心部からも生えることに。
こうしてたくさん根が張ることで、鉢内の土から効率的に水分・栄養を吸収できるので、植物がスクスクと元気に育ちます。
〈メリット②〉通気性が良いため「根腐れ」を防げる
観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うメリットの2つめは、「通気性が良いため「根腐れ」を防げる」です。
前述のとおり、スリット鉢は平らな場所や受け皿に置いても、つねに側面の「スリット」で換気ができています。
そのため適度に土が乾燥され、とくに冬は根腐れを起こしにくくなります。
〈メリット③〉根詰まりしにくいので、植え替えの頻度が減らせる
観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うメリットの3つめは、「根詰まりしにくいので、植え替えの頻度が減らせる」です。
一般的な鉢だと下画像のように、下に伸びた根が底でグルグル回り(サークリング状態)、根詰まりを起こしてしまいます。
実はこの状態では、側面は根でビッシリですが、中心部に根は生えていません。
そのため中心部の土はほとんど使われず、ボロボロと落ちてくるほど。
ところがスリット鉢なら、根が「サークリング状態」になりにくくなっています。
根が中心部にも生えてくるので、用土の90%を効率的に利用できます。
そのため、一般的な鉢よりも「根詰まり」を起こしにくく、植え替え頻度が減らせるというわけです。
〈メリット④〉プラスチック製のため値段が安い
観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うメリットの4つめは、「プラスチック製のため値段が安い」です。
たとえば、下画像のCSM-120(直径120mm)は、ホームセンターで税込み63円。
鉢のサイズが大きくなれば、それなりに高価にはなりますが、陶器鉢ほどではありません。
この価格なら、「試しに使ってみよう」とも思えますよね。ぜひ一度、使ってみてください。
観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うデメリット
次に、観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うデメリットをご紹介します。
〈デメリット①〉デザインがいまいちな製品が多い
観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うデメリットの1つめは、「デザインがいまいちな製品が多い」点です。
もともと生産者向けに開発された鉢で、「育てやすさ」がメイン。
そのため、形・色ともにデザイン性はあまりありません。
また、一般的なプラ鉢ほどは種類もありません。
そこで、スリット鉢は「インナーポット」と割り切り、鉢カバーに入れて使ってみましょう。
◆「観葉植物の鉢カバーの選び方とおすすめ品」は、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「観葉植物のおしゃれな鉢カバーのおすすめを紹介!選び方も紹介」
〈デメリット②〉夏は鉢土が乾燥しやすい
観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うデメリットの2つめは、「夏は鉢土が乾燥しやすい」点です。
冬はほどよく土が乾くので「根腐れ」を防ぎますが、ただでさえ土が乾く夏は、より乾燥しやすくなります。
ですから鉢の置き場所によっては、毎日どころか、朝・晩の水やりが必要な場合も。
とくに真夏は、1回水やりを忘れると植物に致命的なダメージを与えることもあります。
日陰など置き場所を工夫しながら、水やりを忘れないよう注意してください。
〈デメリット③〉すべてのスリット鉢が「サークリング防止」になるかは不明
観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うデメリットの3つめは、「すべてのスリット鉢が「サークリング防止」になるかは不明」という点です。
現在、いくつかのメーカーからスリット鉢が販売されていますが、アップルウェアーではサイトで次のように説明しています。
果樹鉢、バラ鉢の「スリット」は根のサークリング予防になりますか?
アップルウェアー公式サイトより
弊社では通気性や通水性を良くするために「スリット」を入れております。根のサークリング予防になるかのテストや実証試験は行っておりません。
その一方で、兼弥産業や大和プラスチックの公式サイトでは「サークリング状態になりにくい」と記載。
通気性・排水性だけでなく「根のサークリングを防ぎたい」ときには、メーカーのサイトで効果を確認したうえでスリット鉢を選びましょう。
観葉植物でのスリット鉢(根張り鉢)の使い方
記事の最後に、観葉植物でのスリット鉢(根張り鉢)の使い方をご紹介します。
〈使い方①〉スリット鉢で育てるのはどんな植物でもOK
スリット鉢で育てるのは、観葉植物でも多肉植物でもOKです。
ただし土は、「観葉植物の土」・「多肉植物の土」など、専用の培養土を使いましょう。
保水性の高い「花の土」などを使うと、通気性が良いスリット鉢でも、根腐れを起こす可能性があります。
〈使い方②〉鉢底石や鉢底シートは使わなくてOK
スリット鉢では、鉢底石や鉢底シートは使わなくてOKです。
鉢底石を使わない分、土を多く使うことができ、そこに根を張らせることができます。
すると一般的な鉢と同じサイズでも、たくさん根が張っているので、植物がより元気になりますよ。
〈使い方③〉土の上には置かない
室内で育てる分には関係ないことですが、スリット鉢は土の上には置かないようにしましょう。
土の上に置くと、根がそのまま鉢底から出て、土まで伸びてしまいます。
鉢底石・鉢底シートを使わないスリット鉢のデメリットでもありますが、これでは移動ができなくなり、鉢を使う意味がなくなります。
ぜひ適切な使い方をしていきましょう。
まとめ:スリット鉢で元気な観葉植物を育てましょう
この記事では、観葉植物でスリット鉢(根張り鉢)を使うメリットやデメリット、特徴、使い方まで解説しました。
ぜひスリット鉢を使って、元気な観葉植物を育てていきましょう。
「↑各通販サイトのくわしい情報や、他のおすすめサイトを知りたい!」ときは、記事「観葉植物のおすすめ通販サイト」・「フェイクグリーンのおすすめ通販サイト」をどうぞ!
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参考文献
この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。
- 書籍 小笠原 誓・著『別冊NHK趣味の園芸 よくわかる土・肥料・鉢』NHK出版