ポトスを育てることにも慣れてきたから、そろそろ増やしてみたいな…。増やし方には、どんな方法があるんだろう?
こうした疑問にお答えする記事です。
育てるのに慣れたら、やっぱり「観葉植物を増やす」ことにも挑戦したいですよね。
そこでこの記事では、ポトスの増やし方について、”挿し穂の作り方”から”3つの増やし方”まで、わかりやすく解説していきます。
「増やし方を知って、好きなポトスをどんどん増やしたい!」というときは、ぜひご覧ください。
ポトスの基本情報と3つの増やし方
まずは、ポトスの基本情報と3つの増やし方についてご紹介します。
ポトスとは?基本情報
- 学 名:Epipremnum pinnatum ’Aureum’
- 科 名:サトイモ科
- 原産地:ソロモン諸島
- 育てやすさ:★★★(カンタン)
- 置き場所:明るい日陰・日陰
- 耐陰性:ある
- 耐乾性:ふつう
- 最低温度:5℃
ポトスとは、サトイモ科の観葉植物のひとつです。
ツルがぐんぐんのびて、艶やかな緑の葉をつけることが特徴。
切ったツルは、水に挿すだけで根が出るほど強い繁殖力をもちます。
やさしい葉色の「ライム」や、ホワイトの斑がアクセントの「マーブルクィーン」などが人気の品種で、寄植えにも便利な植物です。
夏の直射日光はさけ、年間をとおして日あたりのよい場所が最適。
水やりは春~秋は鉢土が乾いたら与え、冬は乾かし気味に管理します。
ポトスの3つの増やし方
ポトスのおもな増やし方は、次の3つです。
- 挿し木:カットした枝や茎・葉などを、土に挿して植物を増やす方法
- 水挿し:カットした茎や枝を、水に挿して増やす方法(「挿し木」の方法のひとつ)
- 株分け:生長した植物の株をいくつかにわけて、植物を増やす方法
上記1・2と3は、「増やし方」としてややニュアンスが異なり、1・2は「増殖させて増やす」、3は「分けて増やす」というものです。
いずれにしても、ほかの観葉植物にくらべて、ポトスはとても増やしやすいのが特徴。
初心者さんが「はじめて観葉植物を増やす」ときは、ポトスにチャレンジするのがオススメです。
”増やしやすさ”と”育てやすさ”で考えると、「水挿し → 土植え」がイチバン。いろいろ試してみましょう。
ポトスの増やし方に”適した時期・適さない時期”
ポトスの増やし方に”適した時期”は、真夏をのぞいた5~9月です。
この時期はポトスの生長期で、どんどん育って大きくなります。
一方、ポトスの増やし方に”適さない時期”は、真夏と10~4月。
これは、暑すぎたり寒かったりすると、ポトスは生長を止めてしまうためです。
適さない時期に、たまたま挿し木・水挿しが成功しても、茎が細かったり株が弱い可能性も。
できるたけ適期に行って、元気な苗を増やしましょう。
【ポトスの増やし方:前提】”挿し穂”の作り方
次に、ポトスの増やし方の「前提」として、”挿し穂”の作り方をご紹介します。
”挿し穂”とは?
”挿し穂”とは、挿し木・水挿しに使うために切り取った枝や茎のことです。
ポトスを挿し木・水挿しで増やすためには、挿し穂を作ることが欠かせません。
この挿し穂を、次項でご紹介するポイントどおりにカットすれば、ほぼ失敗なくポトスが増やせます。
ポトスを増やすには、正しく”挿し穂”を作ることが重要ですので、ポイントをしっかり確認していきましょう。
”挿し穂”を作るときのポイント
”挿し穂”を作るときのポイントはこちらです。
1.挿し穂には「節」の部分を必ず残す
2.葉も最低1枚は残す
「節」とは、葉が茎につく部分のこと。
ポトスでは、挿し木・水挿しを行うと、「節」から新芽が、気根から根っこが生えてきます。
挿し穂に「節」が残っていないと、芽と根が出ません。
つまり、ポトスを増殖させることができないのです。
茎の切り方は、次項でくわしくご紹介します。
ポトスの”挿し穂”の作り方
次に、ポトスの”挿し穂”の作り方のご紹介です。
1.伸びた茎を切る
ポトスはどんどん茎(ツル)が伸びますので、伸びた茎を”鉢のフチ”あたりで切りましょう。
なお、このとき「切れないハサミ」を使うと、切り口がつぶれて痛むことも。
記事「観葉植物の剪定におすすめのハサミ」でご紹介するような、「切れ味の良いハサミ」を使ってください。
2.「節」を残して、さらに細かくカットする
次に、「節」を残して、さらに細かくカットします。
まずは”気根の位置”を確認しましょう。
確認したら、”気根の先”でカットしてください。
これで、節・気根・葉がついた”挿し穂”が完成です。
3.リキダス1,000倍液で”水あげ”する
こちらは、水挿しの場合は必要ないんですが、一応ご紹介します。
挿し穂ができたらすぐに、リキダスを1000倍に薄めた液体に切り口を浸けてください。
これが”水あげ(カットした茎に水を吸わせること)”です。
30分ほど吸わせればOK。
次項の挿し木か水挿しに進みましょう。
メネデールでもOKです。
◆「リキダスとかメネデールって何?」という方は、記事「観葉植物のおすすめ栄養剤(活力剤)はコチラ!」をご覧ください。
【ポトスの増やし方1】挿し木
次に、ポトスの1つめの増やし方として、「挿し木」をわかりやすく解説します。
◆「ポトスの挿し木のやり方」についてくわしくは、記事「ポトスの”挿し木”のやり方をわかりやすく解説!」で解説しています。
◆実際に「挿し木 → 土植え」でポトスを育てている生長の記録はこちら。
・記事「【生長の記録4】ポトス・グリーンスクラッチ/挿し木→土植えに」
挿し木を成功させるためのポイント
挿し木を成功させるためのポイントはこちらです。
- 土は乾かさない(つねに湿らせておく)
- 挿し穂はグラつかせない(風が強い場所で管理しない)
挿し木でポトスを増やす手順
挿し木でポトスを増やす手順は、以下のとおりです。
手順1:土とポットを準備する
土は”挿し木用の土”がおすすめです。
ポットの大きさは、挿し穂の大きさによります。
挿し穂が5~8本くらい挿せて、根っこも伸ばせるサイズを選びましょう。
挿し穂が大きいときは、「プレステラ105型」あたりがおすすめです。
手順2:”挿し床”を準備する
”挿し床”とは、挿し穂を挿す場所のこと。
ポットに土を入れて、”挿し床”を準備します。
手順3:”挿し穂”を”挿し床”に挿す
次に、”挿し穂”を”挿し床”に挿します。
挿す深さは、下画像のとおり。
気根の少し上に土がくるようにします。
こうすると、新芽がが育ちやすくなります。
同じようにして、挿し穂を何本か挿しましょう。
手順4:プッシュタイプの水差しで水やり後、軽く土を押さえる
最後に水やりをします。
通常の水差しだと、口が太く水が注がれる量が多いため、土がくずれることも。
そのため、口が細いプッシュタイプの水差しで、底から水が出るまで静かに与えてください。
最後に水やりをします。
通常の水差しだと、口が太く水が注がれる量が多いため、土がくずれることも。
そのため、口が細いプッシュタイプの水差しで、底から水が出るまで静かに与えてください。
挿し木したポトスの管理方法
挿し木したポトスは、強い風が吹かない半日陰の場所で管理しましょう。
根は2週間ほどで生えてきます。
ひと月ほどで新芽が出たら、通常のポトスと同じように管理します。
肥料も与えてください。
挿し木で増やしたポトスの”その後”の管理方法
挿し木で増やしたポトスは、鉢上げしましょう。
鉢上げとは、通常の鉢で”観葉植物用の培養土”を使って管理するために、植え替えすること。
”挿し木用の土”は排水性が高く(乾きやすく)、保肥性が低い(肥料のもちが悪い)ため、通常の管理には向きません。
挿し穂から新芽が出たら鉢上げを行って、通常の管理を行いましょう。
【ポトスの増やし方2】水挿し
次に、ポトスの2つめの増やし方として、「水挿し」をわかりやすく解説します。
◆「ポトスの水挿しの方法」についてくわしくは、記事「ポトスの”水挿し”の方法をわかりやすく解説!」で解説しています。
◆実際に「水挿し → 土植え」でポトスを育てている生長の記録はこちら。
・記事「【生長の記録3】ポトス・グリーンスクラッチ/水挿し→土植えに」
・記事「【生長の記録15】ポトス・エメラルド2/水挿し→土植え」
水挿しを成功させるためのポイント
水挿しを成功させるためのポイントはこちらです。
- できれば毎日、長くとも3~4日に一度は水を取り替える
- 茎のヌメリは洗い流す
- 容器は洗剤で洗う
水挿しでポトスを増やす手順
水挿しでポトスを増やす手順は、以下のとおりです。
手順1:容器を準備する
まずは、水挿しに使う容器を準備します。
透明容器だと”根の育ち方”も見えるので、水挿しではよく使われます。
おすすめは、ダイソーの「ガラスキャニスター(竹蓋付)」です。
容器の大きさは、カットするポトスの茎のサイズに合わせてください。
手順2:リキダス1,000倍液を準備する
容器に、活力液”リキダス”を1000倍薄めた液を作って入れましょう。
”リキダス”がなければ、”メネデール100倍液”か”ただの水”でもOKです。
容器の、だいたい6分目くらいまで入れておきます。
手順3:挿し穂を水につける
あとは挿し穂をリキダス1,000倍液につければ、水挿しの完成です。
ポトスの水挿しでの”水の量”は、節と気根が水中につかるくらいです。
節と気根が水につかっていれば、深くても浅くても、水の量はどちらでもOK。
ただしあまり浅いと、水が蒸発して気根が水上に出てしまうこともありますので、ご注意ください。
水挿ししたポトスの管理方法
水挿ししたポトスは、半日陰の場所で管理します。
また、水を換えるときには、容器と茎を洗いましょう。
これは雑菌の繁殖を抑えるため。
容器は、台所用洗剤をつけて洗ってOKです。
多少、洗剤が残っていても、ポトスには影響はありません。
茎は、水に浸けていると、だんだんヌメリがでてきます。
流水をあてながら、軽く指でこすって、ヌメリを落としてください。
とくに、茎の切り口はヌメリが多く、だんだん黒くなってきます。
切り口を重点的に洗って、ヌメリをなくしましょう。
水挿しで増やしたポトスの”その後”の管理
水挿しでの”発根後の育て方”には、次のような選択肢があります。
- 水挿しのまま育てる(水栽培)
- 植え替えて”土植え”にする
- 植え替えて”ハイドロカルチャー”にする
もっとも丈夫に育つのは、上記2の土植えです。
もしすでに土植えで育てているなら、水栽培やハイドロカルチャーで育ててみるのも楽しいですね。
水挿しで増やしたポトスはハイドロカルチャーにしてもOK
じつは、「土植えの根っこ」と「水栽培・ハイドロカルチャーの根っこ」は異なります。
ですから「土植え」←→「水栽培・ハイドロカルチャー」で植え替えすると、根っこが生え変わる期間は生長がゆるやかになってしまいます。
ところが「水栽培←→ハイドロカルチャー」であれば根っこが同じですので、生長が止まることはありません。
水挿しで増やしたポトスは、ハイドロカルチャーとの相性はバッチリ。
ぜひ一度、ハイドロカルチャーにもチャレンジしてみてください。
【ポトスの増やし方3】株分け
次に、ポトスの3つめの増やし方として、「株分け」をわかりやすく解説します。
なお、「株分け」の場合は、挿し木・水挿しで使った”挿し穂”は使用しません。
こんなときには”株分け”を
株分けは、ここまでご紹介した「挿し木・水挿し」とは違って、”増殖させて増やす”ものではありません。
”増やす方法”というより、”分ける方法”というのが適切。
そのため、ポトスが鉢で育ちすぎたときにも株分けがオススメです。
「ひとまわり大きい鉢への植え替え」でも良いのですが、そうすると”サイズがどんどん大きく”なってしまいます。
「このままのサイズで育てたい」ときは、株分けをして、同じサイズの鉢で管理をしましょう。
◆「観葉植物の植え替え」についてくわしくは、記事「観葉植物の植え替えのやり方を解説!」でわかりやすく解説しています。
株分けを成功させるためのポイント
株分けを成功させるためのポイントはこちらです。
- あまり根を傷めないように分ける
株分けでポトスを増やす手順
株分けでポトスを増やす手順は、以下のとおりです。
手順1:株が育ったポトスを準備する
まずは、株がしっかり育ったポトスを準備します。
手順2:株を手で分ける
次に、株を手で分けます。
このとき、(多少はしょうがないのですが)あまり根っこを切りすぎないように気をつけましょう。
手順3:それぞれの株を鉢に植える
最後に、株分けした株を、それぞれの鉢に植え付けて完成です。
株分けで増やしたポトスの”その後”の管理
株分けで増やしたポトスは、植え替え後と同じように管理しましょう。
2週間ほどは、「半日陰で肥料を与えずに管理する」です。
その後は、通常どおりの管理でOK。
肥料を与えて、元気に育てましょう。
「ポトスの増やし方」についての疑問にお答えします
記事の最後に、「ポトスの増やし方」についての疑問にお答えします。
〈疑問①〉茎のどこを切る?ポトスを増やすときに切る場所
ポトスを増やすときに切る場所は、気根の少し先です。
気根とは、”地表に出ている根”のことで、茎から葉っぱがでている部分(「節」といいます)あたりから生えてきます。
気根の反対側には葉っぱがあるので、その葉を傷つけないようにして、気根の少し先でカットします。
挿し木・水挿しが成功すると、気根からは新しい根っこが、節から新芽が出ます。
ポトスの茎を切る場所は、まちがえないようにしましょう。
〈疑問②〉ポトスの生長点はどこにある?
ポトスの生長点は、葉や根のほかに、「節(茎から葉っぱがでている部分)」にもあります。
そのため、挿し木・水挿しをすると「節」から新芽が出てきます。
生長点のある「節」がなければ、ポトスは増えることができません。
”挿し穂”を作るときには、必ず「節」を残して切りましょう。
〈疑問③〉ポトスの新芽はどこから出てくる?
ポトスの新芽は、「節(茎から葉っぱがでている部分)」から出てきます。
そのため、”挿し穂”を作るときには、「節」を残すことが重要です。
ちなみに、カットしたポトス本体側を見ると、下画像のように「カットした部分」付近の「節」から新芽が出てきます。
このときの特徴は、「2箇所以上の節から新芽が出る」こと。
カットするほど、茎(ツル)が分岐して、増えていきます。
もし「ポトスをこんもり育てたい!」というときは、少しずつカットをくり返しましょう。
〈疑問④〉ポトスの挿し木・水挿しは”茎だけ”でも増やせる?
ポトスの挿し木・水挿しは、”茎だけ”では増やせません。
茎のほかに、「節」の部分を残していることが必要です。
これは(何度もくり返しますが)、「節」の部分に生長点があり、生長点から新芽が出てくるから。
ポトスは、”茎だけ”では増やせませんので、必ず「節」を残して”挿し穂”を作りましょう。
〈疑問⑤〉ポトスはずっと水挿しのままでも育つ?
ポトスは、ずっと水挿しのまま(水栽培)でも、ちゃんと育ちます。
ツルも伸びて、どんどん葉っぱも増えていきます。
ただし、「元気に育つ」のは、やはり水栽培より土植えです。
個人的には、数日おきに水を替える「水栽培」は、面倒であまり好きではないですね。土植えがラクですよ。
〈疑問⑥〉ライムポトスの増やし方は?
さわやかなライム色の葉っぱが人気の「ライムポトス」。
「ライムポトス」の増やし方は、上記のとおり「挿し木・水挿し・株分け」の3つです。
とても増やしやすいので、たくさん増やして、こちら↓のようにほかの品種と寄植えなどすると楽しいですよ。
〈疑問⑦〉エンジョイポトスの増やし方は?
葉っぱの白斑が特徴的で、葉が小さく頑丈な「エンジョイポトス」。
「エンジョイポトス」の増やし方は、上記のとおり「挿し木・水挿し・株分け」の3つです。
ただし、もともと「育ち方がゆっくり」という特性をもちます。
「(ポトスライムなど)他品種といっしょに水挿ししたら、エンジョイはなかなか育たない」ということも。
「育ち方がゆっくり」というエンジョイの特性を理解して、のんびり増やしていきましょう。
まとめ:正しい方法でポトスをどんどん増やしましょう
この記事では、ポトスの増やし方について、”挿し穂の作り方”から”3つの増やし方”まで、わかりやすく解説してきました。
増やしてみると、買ったときとはまた違って”愛着”がわきます。
ぜひ記事を参考に、正しい方法でポトスをどんどん増やしましょう。
観葉植物のおすすめ通販サイトはこちら↓です。
- 「たくさんの種類から選びたい」ならHitoHana
(↑観葉植物の品ぞろえが国内最大級の通販サイトです) - 「自分にピッタリな植物を知りたい」ならAND PLANTS
(↑”パーソナル植物診断”で、最適な植物を教えてくれます)
◆観葉植物には「幸せになる・生産性が高まる」など、たくさんのメリットが。ぜひ、観葉植物のおすすめ通販サイトで購入して、育ててみましょう。
◆「暮らしに癒しが欲しい!」というときは、記事「おすすめ”花の定期便”を紹介」で”花のサブスクのおすすめサービス”をご紹介しています。
参考文献
この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。
- 書籍 上田 善弘・著『園芸「コツ」の科学』講談社
- 書籍 NHK出版・編『とことん答える800問!園芸なんでもQ&A』NHK出版