もう2年もやってないから、そろそろ観葉植物の植え替えしなきゃ…。でも、どうやったらいいの?
こうした疑問にお答えする記事です。
そこでこの記事では、観葉植物の植え替えのやり方とポイント、目的別の5つの方法などをわかりやすくご紹介していきます。
「植え替えの正しいやり方を知って、観葉植物を丈夫に育てたい!」というときは、ぜひご覧ください。
観葉植物の植え替えとは?(基本情報)
まずは、観葉植物の植え替えとはどんなものか、植え替えの基本情報をご紹介します。
観葉植物の植え替えとは?
観葉植物の植え替えとは、古い土を落として傷んだ根を取り除き、新しい土を使って植えつける作業です。
「鉢のなかで根が育ちすぎた場合」などに行います。
これは、そのままの状態で植物を育てると、根が水をうまく吸えず株が傷んでしまうため。
観葉植物を丈夫に育てるうえで必須の作業ですので、「正しい植え替えのやり方」を知っておきましょう。
なお、植え替えのなかでも、トレーなどで種から育てた苗をポットなどに植え替えることは「鉢上げ」と言います。
◆「コーヒーの木の鉢上げ方法」は、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「【コーヒーの木の増やし方②】挿し木苗の鉢上げ方法・手順を解説」
観葉植物の植え替えが必要な理由
観葉植物の植え替えが必要な理由は次のとおりです。
- 植物が生長することで、鉢が小さくなるため
- 土の養分がなくなるため
- 土が粉状になって、水はけや通気性が悪くなるため
各理由についてくわしくは、以下でご紹介します。
理由1:植物が生長することで、鉢が小さくなるため
多くの観葉植物は生育が旺盛ですので、茎や葉がどんどん大きくなっていきます。
茎や葉などの「地上部」が生長するということは、同じだけ「地下部」、つまり根っこも生長しているということ。
根が生長すると、だんだん鉢が小さくなり、窮屈な状態になります。
この状態を「根詰まり」といい、水がまともに吸えません。
そこで植え替えによって、鉢を大きくして、根が生長するスペースを作るのです。
◆「根詰まり」すると、葉先が枯れることも。くわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「観葉植物の葉先が枯れるのはなぜ?原因と対策、枯れた葉先の対処法を紹介」
理由2:土の養分がなくなるため
土には微量ながら養分が含まれており、水やり時に水分に溶け出して、根から吸収されます。
ですが、長く育てていると、土に含まれる養分もなくなってしまいます。
すると植物がもらえる養分が減って、元気がなくなることに。
植え替え時には、必ず新しい土を使って、植物に養分を与えてあげましょう。
理由3:土が粉状になって、水はけや通気性が悪くなるため
観葉植物の理想的な土は、「団粒構造」の土です。
「団粒構造」とは下図のように、小さな粒子が適度な大きさで固まった状態。
団粒と団粒のあいだには「すき間」があるため、水や空気が通りやすく、「排水性・通気性」が良くなります。
ですが、くり返し水やりをしていると、最初は「団粒構造」であった土も、だんだんくずれて粉状の「単粒構造」となってしまいます。
こちらは「すき間」がないため、水も空気も通りにくく、「排水性・通気性」が悪くなります。
そこで団粒構造の新しい土を使って、「排水性・通気性」を持たせるようにします。
◆「団粒構造や土について」は、こちらの記事でくわしくご紹介しています。
・記事「観葉植物におすすめの土を紹介!「団粒構造」の特徴や理想的な土の条件も解説」
観葉植物の植え替え前に知っておきたいこと
次に、観葉植物の植え替え前に知っておきたいことをご紹介します。
植え替えが必要となる3つのタイミング
植え替えが必要となるタイミングは、おもに次の3つです。
- 購入時に「底に穴がある鉢」+「ポリポット」に入っているとき
- 購入時に葉先が枯れているとき
- 生長して植物が大きくなったとき
それぞれのタイミングについて、くわしくご紹介していきます。
【タイミング1】購入時に「底に穴がある鉢」+「ポリポット」に入っているとき
植え替えが必要となるタイミングの1つめは、購入時に「底に穴がある鉢」+「ポリポット」に入っているときです。
ポリポットとは、こちら↓のようなビニール製の安価なポットのこと。
なぜ「底に穴がある鉢」+「ポリポット」の組み合わせがダメかというと、ほとんどの場合、こちら↓のように「底の穴の位置」がずれているから。
このまま水やりすると、底から水が排出されにくい状態のため、根腐れ(土の水分が多く、根っこがくされてしまうこと)する可能性が高まります。
ですから、「底に穴がある鉢」+「ポリポット」のときは植え替えしてください。
一方で、「底に穴がない鉢」つまり「鉢カバー」なら、ポリポットを鉢から出して水やりするので、植え替えは必要ありません。ただし、次項を見て、「根が大きくなりすぎていないか」は確認しましょう。
【タイミング2】購入時に葉先が枯れているとき
苗を購入したら、一度ポット・容器鉢などから出して、根が育ちすぎていないかを確認しましょう。
小さい苗なら下画像のように、苗をおさえて逆さにして、ゆっくりポットを外します。
ポットを外して、こちら↓のように、土の表面に根があまり見えないなら、植え替えは必要ありません。
ですが下画像のように、びっちりの根が見えていれば、植え替えしましょう。
また、下画像のように、鉢土に「ゼニゴケ」がついた苗も植え替えをおすすめします。
このまま育てるとゼニゴケが増えてしまい、株がうまく水や肥料成分を吸収できません。
【タイミング3】生長して植物が大きくなったとき
生長して植物が大きくなったときにも、植え替えを行います。
根が生長して鉢の中でいっぱいになると、水を十分に吸い上げられません。
すると土の中の酸素が不足し、水はけも悪くなるので、植物の元気がなくなってしまいます。
たとえば下画像は、根が鉢のなかで育ちすぎた「根詰まり」の状態。
こうなると水が吸いにくいため、枯れてしまう可能性大です。
また鉢の土が古くなると、土に含まれる養分のバランスが崩れたり、根詰まりの原因になることも。
小さい鉢なら1年に一度、大きい鉢なら2~3年に一度植え替えをすることで、より丈夫な株に育てることができます。
観葉植物の植え替えに最適な時期
観葉植物の植え替えに最適な時期は、”真夏を除く5~9月”です。
5~9月とは、多くの観葉植物がグングン伸びる生長期。
植え替えは、植物にとって”多大なストレスを受ける”作業ですが、生長期であれば根づきも良くなります。
ただし真夏の高温時には、観葉植物も弱りがち。
真夏に植え替えをすると枯れてしまうこともあるので、避けましょう。
◆「植え替えに最適な時期」は、記事「観葉植物の植え替えに最適な時期はいつ?」でくわしくご紹介しています。
観葉植物の植え替えを行う頻度:1~2年に一度
観葉植物の植え替えの頻度は、だいたい1~2年に一度が目安。
ですから、観葉植物を購入して2年間以上植え替えていないと、鉢内で根がいっぱいに育っている可能性大。
購入して2年経ったら、植え替えを行ってみましょう。
観葉植物の植え替えやり方とポイントをわかりやすく解説
次に、観葉植物の植え替えのやり方とポイントを、わかりやすく解説します。
観葉植物の植え替えの基本的なやり方
観葉植物の植え替えの基本的なやり方は、次のとおりです。
- 「土に水がしみ込まない」などのサインが出たら、植え替えの準備をする(※1)
- 「植え替え」に必要な道具をそろえる(※2)
- 鉢から根っこ部分を抜く
- 根を軽くほぐし、土を軽く落とし、くっついた鉢底石を外す
- 根が傷んでいたら(黒くなった根)ハサミで切り取る
- 新しい鉢に鉢底ネット・鉢底石・培養土を敷き、株を入れる
- 株のまわりに培養土をつめ、割り箸などで軽くつついて、土を入れ込む
- たっぷり水やりして、2週間~1ヶ月ほどは半日陰で育てる
※1:植え替えを行うべき観葉植物のサイン
次のような場合は、植え替えを行うべき観葉植物のサインです。
- 水やりをしても、水が土にしみ込んでいかない
- 鉢の底にある穴から、根が出ている
- 株が大きくなりすぎて、倒れてしまう
- 下側にある葉が黄色くなっている
- 茎が垂れる
- 購入してから、2年以上植え替えをしていない
「株」とは、観葉植物自体のことを指します。
※2:「植え替え」に必要な道具
「植え替え」に必要な道具は、次のとおりです。
- サイズに適した大きさの鉢
- 専用の培養土
- 鉢底石
- 割り箸
- スコップ
- 鉢底ネット
- 芽切りハサミ(園芸ハサミ)
そのほかゴム手袋や軍手、新聞紙などがあると、手や周りを汚さないで済みます。
◆「鉢・鉢カバー、培養土、鉢底石、園芸ハサミのおすすめと選び方」は、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「観葉植物のおしゃれな鉢のおすすめを紹介!種類や選び方も解説」
・記事「観葉植物のおしゃれな鉢カバーのおすすめを紹介!選び方も紹介」
・記事「観葉植物におすすめの土を紹介!「団粒構造」の特徴や選び方も解説」
・記事「観葉植物に鉢底石(ゴロ石)はなぜ必要なの?使う量や選び方、代用品も紹介」
・記事「ハサミの種類とおすすめ品を紹介!」
◆「観葉植物を育てるときにそろえてほしい道具」は、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「【観葉植物】室内で育てるときに必要なもの!」
観葉植物の植え替えの大切な5つのポイント
観葉植物の植え替えの大切な5つのポイントは次のとおりです。
- 植え替えに適した時期に行う
- 新しい土を使う
- ひと回り~ふた回り大きな鉢を使う
- 根を乾燥させない
- 植え替え後の2週間は”適切な管理”を
このポイントを守らないと、植え替え後に植物が弱ってしまうことも。
よく確認して、植え替えを行いましょう。
各ポイントについてくわしくは、以下でご紹介します。
ポイント1:植え替えに適した時期に行う
観葉植物の植え替えは、できるだけ適した時期、具体的には”真夏を除く5~9月”に行いましょう。
5~9月とは、多くの観葉植物がグングン伸びる生長期。
植え替えは、植物にとって”多大なストレスを受ける”作業ですが、生長期であれば根づきも良くなります。
ポイント2:新しい土を使う
植え替え時は、新しい土を使います。
一度使った古い土では、土に含まれる養分が失われていることがあります。
また「団粒構造」が崩れて、粒が細かくなるなど、劣化していることも。
そして「庭の土」を使うことも避けましょう。
観葉植物には適さない性質であったり、病気や虫の卵が紛れている可能性が高いです。
市販の専用培養土でよいので、必ず新しい土を用意しましょう。
ポイント3:ひと回り~ふた回り大きな鉢を使う
植え替えをするときは、いま植えている鉢よりも、ひと回り~ふた回り大きな鉢を使います。
それ以上大きな鉢では、土に水分がたまりすぎ、根の張りが悪くなります。
ちなみに、鉢の号数は3センチ刻みで、下表のようなサイズです。
「ひと回りかふた回り」とは、このサイズが1~2号大きいものということになります。
号 | 直径 | 容量 |
---|---|---|
3号 | 9cm | 0.35L |
4号 | 12cm | 0.65L |
5号 | 15cm | 1.4L |
6号 | 18cm | 2.3L |
7号 | 21cm | 3.6L |
8号 | 24cm | 5.3L |
9号 | 27cm | 8L |
10号 | 30cm | 8.7L |
11号 | 33cm | 10L |
12号 | 36cm | 14.5L |
ポイント4:根を乾燥させない
根が乾燥すると、根にストレスを与えて傷めてしまいます。
すると場合によっては、根が機能を失い、植え替え後に枯れてしまうことも。
植え替え時には次の点に注意して、根の乾燥を防ぎましょう。
- 植え替えは、鉢土が乾いた状態ではなく、水やりから2~3日後の”鉢土がやや湿っている”ときに行う
- 新しい土が乾燥しているなら、霧吹きをかけて、全体を軽く湿らせる
- 作業は日なたでなく日陰で行う
- 根鉢をくずした状態のまま放置せず、すぐに植え替えする
ポイント5:植え替え後の2週間は”適切な管理”を
どれだけていねいに作業をしても、植え替え後は植物が弱っています。
そのため植え替え後の2週間~1ヶ月ほどは、次の適切な管理を行いましょう。
- 日光を好む品種であっても、半日陰に置く
(根が十分に水を吸えないため、植物が水不足になるため) - あまり風が通らない場所に置く
(風があたると蒸散がすすみ、植物が水不足になるため) - 水をあげる頻度を少なめにする
(土を乾燥気味にすると、水分を求めて根がよく育ち、植物が元気になるため) - 肥料は与えない
(吸い上げられない肥料が土に残り、肥料やけを起こして、根が痛むため)
2週間~1ヶ月ほど経ち、新芽が出たら、植物がしっかり根付いた(新しい土に根っこを張った)証拠。
その品種が好む場所に移して、通常どおりの管理を行ってください。
観葉植物の植え替えでの注意点
次に、観葉植物の植え替えでの注意点のご紹介です。
〈注意点①〉マメ科の観葉植物の植え替えでは”根をくずさない”
前項のポイントに注意点として加えたい点が、「マメ科の観葉植物の植え替えでは”根をくずさない”」です。
マメ科の観葉植物とは、エバーフレッシュやソフォラ・リトルベイビーなど。
これらは、根をくずしてしまうと、植え替え後に根が育ちにくくなってしまいます。
植え替えのやり方は、後述する「やり方④ 冬など”適さない時期”に行いたい場合の植え替え」を参考に、根鉢をそのままにして植えるようにしてください。
【観葉植物の植え替え】目的別の6つの方法を紹介
観葉植物の植え替えは「鉢が小さくなったから行う」だけではありません。
大きく6つの目的があり、植え替えの方法も変わります。
ここでは、観葉植物の植え替えの目的別6つの方法をご紹介します。
〈目的別の方法①〉鉢が小さくなったから行う、観葉植物を大きく育てたい場合の植え替え(パキラで実例紹介)
まずは、もっとも一般的な「鉢が小さくなったから行う、観葉植物を大きく育てたい場合の植え替え」をパキラで実例紹介します。
①-1)鉢から株を抜く
まずは作業がしやすいように、前日から水やりは控えます。
そして鉢から株を抜きます。
抜きにくい場合には、鉢のふちを叩きながら抜いてください。
鉢底から根が出ている場合は、ハサミで根を切ります。
①-2)古土を落とす
手で軽く古土を落として、根を少し崩します。
このとき、根を傷つけないように注意してください。
古土は完全に落とす必要はありません。
軽く手で触れて、落とせるくらいで大丈夫。
また、傷んでいる根は切り落としましょう。
①-3)新しい鉢に土を敷く
ひと回り大きい新しい鉢に、鉢底ネットを敷きます。
そして新しい専用培養土を1/5ほど敷きつめてください。
(5号鉢以上の場合は、鉢底石を敷きます)
①-4)すき間に土を入れ植物を固定する
底に敷いた土の上に、植物をのせます。
そして、すき間に培養土を入れていきます。
さらに、植物のまわりを割り箸で軽く挿していくことで、しっかり土を行き渡らせます。
培養土は鉢のふちから1~2センチほど下まで入れます。
(これが「ウォータースペース」です)
①-5)水を与え、半日かげで管理する
鉢底から水が流れるまで、たっぷり水を与えます。
大きい株で、ぐらつく場合には支柱を立て固定しましょう。
その後、風通しのよい半日かげで管理します。
◆パキラの育て方は、こちらの記事でくわしくご紹介しています。
・記事「人気の観葉植物パキラの育て方!」
〈目的別の方法②〉観葉植物を大きくせず、同じ大きさで育てたい場合の植え替え
次に、「観葉植物を大きくせず、同じ大きさで育てたい場合の植え替え」です。
新しい鉢ではなく、同じ鉢を再度使うことができ、室内のスペースがせまくて「置き場所がか確保できない」というときにはピッタリです。
②-1)鉢から株を抜く
作業がしやすいように、前日から水やりは控えます。鉢から株を抜きます。
抜きにくい場合には、鉢のふちを叩きながら抜いてください。
②-2)株を切り分ける
よく切れる園芸用のハサミで、株を2~3つに切り分けます。
②-3)下葉や古根を切り取る
切り分けたそれぞれの株の下葉や古根を切り取ります。
②-4)株を植える
古土は捨てて、新しい培養土を1/5入れた鉢に、それぞれの株を植えます。
根と根のすきまに、新しい土を入れ、植物を固定します。
②-5)水を与え、半日かげで管理する
鉢底からたっぷり水が流れるまで、水を与えます。
風通しのよい半日かげで管理します。
〈目的別の方法③〉ポリポットの苗を鉢に移したい場合の植え替え
方法3つめは、「ポリポットの苗を鉢に移したい場合の植え替え」です。
③-1)鉢からポットを取り出す
まずは、鉢からポリポットを取り出します。
「苗を引っ張る」ことは絶対にせず、ポットのフチをつかんで取り出してください。
③-2)ポットから苗を取り出して根をチェックする
次に、ポットから苗を取り出します。
このときも、絶対に苗を引っ張らないこと!
軽く苗をおさえたら、ポットをそ~っと引っ張って外してください。
ポットを外したら、根がどのくらい張っているかをチェックします。
もし、鉢土の表面の6割くらいまで根が張っているようなら、前述の方法①で植え替えてください。
以降は鉢土の表面の6割まで根が張っていない場合の「同じサイズの鉢に移す方法」の手順です。
ポットと同サイズの鉢といっても、ポットよりわずかに大きいので、スキマができます。そこに土を足すので、多少根が張っていても「根のまわりに土がなくなる」ことはありません。
③-3)鉢に鉢底ネット・鉢底石・土を入れる
ポリポットが入っていた鉢に、鉢底ネット・鉢底石を敷きます。
なお4号鉢くらいまでは、鉢底石はなくても構いません。
さらに底に培養土を入れます。
苗の高さと鉢の高さをくらべて、ちょうど良くなるよう高さを合わせます。
◆「鉢底石が必要な理由や選び方」は、こちらの記事で解説しています。
・記事「観葉植物に鉢底石(ゴロ石)はなぜ必要なの?使う量や選び方、代用品も紹介」
③-4)苗を入れ、まわりに土をつめる
鉢に苗を入れます。
なお、この方法では「根をくずす」必要はありません。そこまで根が張っていない状態で、あえて植物にストレスを与える必要がないからです。
次に、苗のまわりに土を入れていきます。
できるだけ苗を鉢の中心にもってきて、土がまわりに均等に入るようにしましょう。
土を入れた箇所を、割りばしなどで軽くつつきます。
土が底に沈んだら、再度土を足す→割りばしでつつくをくり返します。
③-4)水やりして完成
最後にたっぷりの水で水やりして完成です。
根をくずしていないため、そこまでダメージは無いはずですが、念のため2週間ほどは半日陰で管理しましょう。
〈目的別の方法④〉冬など”適さない時期”に行いたい場合の植え替え
方法の4つめは、「冬など”適さない時期”に行いたい場合の植え替え」です。
「冬に購入した観葉植物が根詰まりしていた」・「育てている植物の根詰まりに、秋以降に気がついた」ときには、次の方法で植え替えてみてください。
- 鉢からそっと抜く
- 鉢底についた鉢底石をそっと取り除く
- ひとまわり大きな鉢を用意し、鉢底石を敷き、新しい培養土を入れる
- 根をくずさないように新しい鉢に入れ、根のまわりに新しい培養土を詰める
- 通常の植え替えと同じように、水やり→日陰で管理する
「根をくずさずに植え替える方法」ですから、植え替えのダメージは最小限に。
とはいえ、根が巻き付いたままで、植物の生長に最適とはいえないため、あくまで応急処置と考えましょう。
〈目的別の方法⑤〉「生育が悪い」・「株が全体的に柔らかい」場合の植え替え
方法の5つめは、「生育が悪い」・「株が全体的に柔らかい」場合の植え替えです。
「生育が悪い」・「株が全体的に柔らかい」場合は、次のことが起こっている可能性大。
- 根腐れしている
- 鉢が大きくて、水分が多すぎる
そのため、小さいサイズの鉢に植え替えて、株の元気を取り戻します。
手順は次のとおり。
- ひとまわり小さい鉢を用意する(根の傷み具合によっては、さらに小さい鉢が必要なケースも)
- 古い鉢から株を取り出す
- 黒くなったり、ブヨブヨとやわらかくなった根を切り落とす
- 株についていた土を、できるだけ落とす
- 根を切り落とした割合と同じ割合で、葉も切り落とす
(根を全体の1/4ほど切り落としたなら、葉も全体の1/4切り落とす) - 新しい鉢に、通常とおり植え替える
根腐れするには「水やりの回数が多かった」・「肥料を与えすぎた」・「低温にさらした」などの理由が。改善しないとまた根腐れをくり返すので、「何が原因か?」を確認してみましょう。
〈目的別の方法⑥〉ハイドロカルチャー(水耕栽培)で育てたい場合の植え替え
方法の6つめは、「ハイドロカルチャー(水耕栽培)で育てたい場合の植え替え」です。
ハイドロカルチャーとは、土のかわりにハイドロコーンといった「発泡煉石」などを使って植物を植え、器に少量の水をためて植物を栽培する方法。
管理がカンタンで、土を使わないためキッチンなどにも置きやすく人気です。
ハイドロカルチャーの植え替え
ハイドロカルチャーの観葉植物も生長しますので、一年に一回は植え替えましょう。
4月下旬から7月が最適ですが、株の具合が悪いなど緊急を要する場合は、真冬以外ならいつでもできます。
その手順は次の通りです。
- 根を傷めないように、ていねいに器から株を抜き出す
- 根をほぐして、発泡煉石を落とす
- 長く伸びすぎた根は短く切り、黒くなった古根は取り除く
- 根を整理した分、葉の数も整理する。傷んだ茎や葉も切る
- 器と発泡煉石をよく水洗いする
- イオン交換樹脂栄養剤を器の底に薄く敷きつめる
- 発泡煉石の大粒を、器の1/5ほど敷きつめる
- 発泡煉石の中粒を、器の半分まで入れる
- 根を広げるようにして植物をおき、中粒で植えつける
- 根の間にも発泡煉石が行き渡るように、割り箸でついてすき間をうめる
- 器の深さの1/5まで水を入れて完成!
1週間ほどは、葉にスプレーして水分を補給します。
また、水の汚れを防ぐ珪酸塩白土は、半年ごとに補充しましょう。
土植えの観葉植物をハイドロカルチャーに植え替える
土植えの観葉植物を、ハイドロカルチャーに植え替えることもできます。
ここで失敗しないための植え替えのコツは、次の2点。
- 土を落として、キレイに洗い流す
- 根を痛めないよう、ていねいにあつかう
植え替えを行う時期は、やはり5~9月ごろです。
土植えの観葉植物を、ハイドロカルチャーに植え替える手順は次のとおり。
- 土植えの株から鉢をはずす
- 割り箸でほぐすように土を落とし、長すぎる根は切る
- 根を水に入れて土を落とす。何度か水を替えて、土をキレイに洗い流す
- イオン交換樹脂栄養剤を器の底に薄く敷きつめる
- 発泡煉石の大粒を、器の1/5ほど敷きつめる
- 発泡煉石の中粒を、器の半分まで入れる
- 根を広げるようにして植物をおき、中粒で植えつける
- 根の間にも発泡煉石が行き渡るように、割り箸でついてすき間をうめる
- 器の深さの1/5まで水を入れて完成!
1週間ほどは、葉にスプレーして水分を補給します。
あとは直射日光のあたらない、明るい室内において育てます。
1ヶ月ほどで新しい根がのびそろって、順調に育ちますよ。
◆「ハイドロカルチャーのおすすめ品種や育て方」・「植え替え手順」についてくわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「【ハイドロカルチャーの観葉植物】おすすめ品種や育て方を解説」
・記事「【ハイドロカルチャーの観葉植物】植え替え方法を解説!」
・記事「【ハイドロカルチャーの観葉植物】おすすめの肥料はこちら!」
「観葉植物の植え替えのやり方」についての疑問にお答えします
記事の最後に、「観葉植物の植え替えのやり方」についての疑問にお答えします。
〈疑問①〉観葉植物の植え替えに失敗する理由は?
観葉植物の植え替えに失敗、つまり枯れたり元気がなくなったりする理由は、ほとんどの場合、前述の「大切なポイント」を守らなかったためです。
このポイントを守らないと、次のようなことが起こってしまいます。
- 植え替えに適した時期に行わない
→しっかり根付かないため、最悪の場合枯れることも - 新しい土を使わない
→土に養分がなく、粉状で排水性・通気性が悪いため、育ちが悪くなる - ひと回りかふた回り大きな鉢を使わない
→大きすぎる鉢を使うと、鉢内の水分が多すぎるため、根腐れして枯れることも - 作業を日かげで行わず、根を乾燥させてしまう
→根が痛むため、生長が遅かったり、最悪の場合枯れることも - 植え替え後の1ヶ月ほどは適切な管理を行わない
→いきなり”日なたに置く”などすると、水の吸い上げが間に合わず、枯れてしまう
しっかりポイントを守って、丈夫な観葉植物を育てましょう。
〈疑問②〉植え替えをしないと観葉植物はどうなる?
植え替えをしないと、観葉植物は次のようにだんだん不健康になっていきます。
- 葉先が枯れる
↓ - 下葉(株の根元側に生えている葉っぱ)が枯れてくる
↓ - 全体的に色つきが悪くなる
↓ - 新葉がまともに展開できず、全体的に小さくなる
水やりをしていれば、完全に枯れてしまうことはそうありません。
ですが、葉が茶色くなり、とても「葉を見て楽しむ」ことなどできない姿になることも。
せめて購入して2年経ったら、植え替えを行いましょう。
〈疑問③〉植え替えに適した土の作り方は?
植え替えに適した土は、次のような配合で作ることができます。
- 一般的な観葉植物:赤玉土小粒6割、腐葉土3割、堆肥1割
- 乾燥を嫌う観葉植物:赤玉土小粒7割、腐葉土2割、堆肥1割
- 多肉植物:赤玉土小粒6割、腐葉土3割、堆肥1割
ただし初心者の場合、土を作って、植え替えまでするのは大変です。
そこで市販の専用培養土を使いましょう。
あらかじめ堆肥も配合されていますので、そのまま植え替えに使用できます。
〈疑問④〉100均で売っていた観葉植物の植え替えで注意することは?
ダイソーなど100均の観葉植物でも、植え替えで注意することは同じです。
プラスチックの、サイズ小さめポットに植えられていますので、まずはちょうどいいサイズの鉢に植え替えましょう。
またずっと店内にいたので、少しずつ太陽の光に慣れさせることも大切。
いきなり直射日光にあてると、葉が焼けてしまうこともあります。
直射日光を好む品種でも、半日かげから徐々に慣らしていきましょう。
〈疑問⑤〉雨の日に植え替えを行ってもいい?
雨の日に植え替えを行っても、問題はありません。
ネット上で見たところ「活着が悪くなる」などの意見があるようですが、そこまで気にする必要はありません。
植え替え時に天気で気にすることは、「日なたで作業を行わない」くらいです。
晴れた日なら、日かげで作業を行いましょう。
ちなみに私が以前働いていた育苗会社でも、種まきから育苗などのさまざまな作業を行っていましたが、「雨が降ったから作業をしない」という作業はありませんでした。
せめて水やりの量が減るくらいです。
植え替えは、最適な時期に行えば、天気は気にしなくてOKです。
◆観葉植物の育て方全般でわからないことがあるときは、こちらの記事をご覧ください。
・記事「【観葉植物Q&A】育て方全般の疑問・わからないコトにお答えします」
まとめ:植え替えの正しいやり方を知って、観葉植物を丈夫に育てましょう
この記事では、観葉植物の植え替えのやり方とポイント、目的別の6つの方法などをわかりやすくご紹介してきました。
正しく植え替えれば、あなたの植物はより元気に大きくなります。
ぜひ今回の記事を参考に、植え替えの正しいやり方を知って、観葉植物を丈夫に育てましょう。
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参考文献
この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。
- 書籍 上田 善弘・著『園芸「コツ」の科学』講談社
- 書籍 小笠原 亮・監修『覚えたい 観葉植物のテクニック』NHK出版